近藤塾長紹介

近藤勇機(こんどう・ゆうき)さん

昭和20年、北海道小樽生まれ。50歳で家電販売会社から脱サラし、独学で自然農を始める。

横浜市青葉区に8反(2400坪)の土地を借りて年間約120種類の野菜を育てている。

苦学生から出世街道へ

近藤さんは、北海道小樽生まれ。北海道大学在学中は学費を稼ぐためアルバイトに精を出し、5年かかって卒業、採用担当者が大学まで来てくれたという理由で受けた東京の家電販売会社に就職しました。土日も休まず働くワーカホリックぶりで出世街道の先頭を走り、45歳で年収1,000万を越えるまでになりましたが、その頃転機が。定年退職した元上司の家に招待された時、昔の功績の自慢話ばかり延々と聞かされ「定年まで働くと自分もこうなってしまうのか」とショックを受けたのです。出世が早かったためかつての上司や同期をやがては部下として使う立場になるという心地悪さを感じていたこともあり、50歳になったら脱サラすると決意。妻の百合子さんは、「ローンが残ってるのに」と大反対でしたが、近藤さんが5年先までのカレンダーを作り退職までの日を数え始めると、1年ほどであきらめ転職を応援してくれるようになりました。

自由な時間を求めて

転職先の当てはなし。僧侶に転職した友人から実入りのいい仕事だと聞かされ僧侶を目指そうとしましたが、夜に庭で火の玉が見えると聞き気が失せました。苦学生時代の多彩なアルバイト経験を生かして便利屋になろうかとも思いましたが、犯罪に巻き込まれるリスクもあると聞き断念、消去法で農業に行き着きました。
「いいものを食べたい」という単純な動機から、農薬を使わずに野菜を育てようと決意。有機農法や自然農法の知識をゼロから得るために、自然農法の創始者・福岡正信さんの著書を始め100冊以上を読破しました。中でも、農学博士で有機農業の実践者でもある西村和雄さんの『ぐうたら農法のすすめ』に感銘を受け、無施肥・不耕起を基本とする自然農法に取り組み始めました。

自然農法と有機農法

自然農法を語るときの近藤さんは熱い!

「どちらも化学肥料や農薬を使わない点では同じだが、考え方は根本的に異なる」と近藤さんは言います。有機農法では植物や動物の糞など自然由来の肥料を使いますが、「肥料で作物を育てる」という点では化学肥料を使う慣行農法と考え方は同じ。一方、自然農法では肥料に頼らず土の力だけで作物を育てます。古来何千年も人工的に肥料を得ることなく育ってきた野菜本来の力が、自然農法により引き出されるのです。だから無施肥で育った野菜は、瓶に入れて何年置いてもしなびるだけで細胞は崩れません。肥料で育った野菜は、何年か経つと細胞が崩れて溶けてしまいます。

16年かけて土作りをしてきた近藤さんの畑では、葉物や大根、蕪などは完全無施肥で育つようになりました。トマトや白菜、玉葱などはまだ肥料が必要なため、植物由来の堆肥を少し使っていますが、ゆくゆくはすべての作物を無施肥で育てたいのだとか。「あと10年以上はかかるかな」近藤さんの挑戦は、まだまだ続きます。

タバコは手放せない。お酒も大好き。でも「土でデトックスされる」と豪語する近藤さん

朝の作業が一段落すると、お昼寝タイム。百合子さんが昼食の弁当を差し入れてくれる



All Photos by 九十九千晶